最近の資産運用理論の動向把握に役立つ
本書は資産運用理論の8つのテーマについて分担執筆をしたものであり、膨大なファイナンス研究の最近の動向を垣間見ることができる。8つのテーマとは、最適ポートフォリオ理論・タームストラクチャー・資本計画とリスク管理・バリュー株効果・指値注文の執行確率・金利変動リスクと債券ポートフォリオ・年金運用と企業価値・株価連動型保険である。 特に興味深かったのは5、6、7、8章である。まず第5章の指値注文の執行確率についての論稿はマーケット・マイクロ・ストラクチャーと呼ばれる分野に属し、売買執行の分析を東京証券取引所のデータを用いて行っている。第6章では負債を考慮した場合に市場指数連動の債券運用がベストの選択ではないという問題意識からはじめて年金ALMを論じている。第7章では年金運用のバランスシートと企業のバランスシートを統合して考えるフレームワークを論じている。実務では年金資金と退職給付信託を合わせて考えることがたまに行われているが、今後はこういうことも重要になるという印象を受けた。第8章の株価連動保険はマーケットリスクのみならず死亡リスクも取り扱うので非常に面白い分野であり、近年発展が著しい。本書ではごく入門的なところを紹介しているが日本語で書かれたものが少ないので貴重な1章である。
日本経済新聞社
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